審美的歯科矯正法-舌側矯正臨床基本テクニック-
インプラント(IMPLANT)
(3)インプラント(IMPLANT)
  歯科インプラントが普及されるに伴い,これを矯正治療の固定源として用いようとする数多くの試みがなされてきた.
D r . 朴が報告しているM I A( M i c r o - i m p l a n t Anchorage)は直径1.2mmのMicroscrewで比較的容易に植立・除去が可能である.
 
図8-57 口蓋に挿入したインプラント
図8-58 舌側矯正での応用
   
   
   
インプラント オーソアンカー/K1システム 
  基本的な術式
 
  1. 矯正学的な診断
  2. 外科的な診断
  3. アンカースクリューの植立手術(1次手術)
  4. 矯正装置の装着
  5. 約3〜6ヶ月の安定期間
  6. アパットメントの装着(2次手術)
  7. 矯正治療開始
  8. 矯正治療終了
  9. アパットメント、アンカースクリューの撤去
   
  術前診断
  どのような目的でその位置にアンカースクリューを植立するのかを診断したのち、手術を担当する歯科医師(口腔外科医等)と相談します.
   
  口腔外科医
 

■外科的診断(症例の選択を行い、手術適応症か否かを診断します)
○全身的な診断
内科的疾患の有無
精神的疾患の有無
アレルギー等の有無
禁煙など

○局所的な診断
解剖学的考察(骨の状態など)
軟組織の状態
歯周疾患の有無

■放射線学的な診断
額骨病変の有無
根尖病変の有無
上顎洞や下顎管の位置

■立植部位の決定(矯正歯科医と相談の上決定)

■アンカースクリューの選択
長さ:4ミリ、6ミリ、8ミリ
直径:1.2ミリ、1.4ミリ(エマージェントー用)

■患者に対しての十分なインフォドームコンセント

■最終的に手術決定へ

  手術術式の計画
  ■印象採得後、作業用模型の製作
   
  ■診断用ステントの制作
 

作業用模型上でステントを制作した後、立植予定部位にレントゲン不透過性の物質を置き、レントゲン撮影を行います.
模型の診断と同時にレントゲン写真の読影を行い、立植予定部位の骨の状態および解剖学的な形態や構造物を診断します.

■診断用ステントをサージカルガイドへ変更
立植予定部位に問題がなければレントゲン不透過物を除去し、手術用のガイドとして作り替え、ガス滅菌を行い保管します.

■使用するアンカースクリューをインスツルメントの確認
アンカースクリューのサイズを決定後、手術前にモーターハンドピースにドリルを、コントラドライヤーやハンドドライヤーにアンカースクリューを装着し、実際に口腔内で操作ができるか否かを判断します.

■手術日の決定
その際、術後の注意や術後の経過などを事前に患者に説明します.

   
  手術について
  ■術前投薬
感染予防のため手術前日より、抗菌剤の術前投薬を行います.
   
  ■インスツルメントの滅菌、消毒方法
 

インスツルメントは超音波洗浄器などで洗った後、純アルコールで洗浄したオートクレープなどで滅菌します. 外科用エンジンは滅菌したビニールなどで覆って使用します. アンカースクリューはシーリングパッケージに入ったままオートクレープで滅菌保管しておくことができます.

   
  ■口腔内外の清拭
  口腔内のプラークなどを術前にブラッシングで除去しておき、口腔外を清拭、その後さらに口腔内も同様に消毒し清潔にします. 穴あきの滅菌布にて顔面を覆い清潔域を確保します. 手術用のサージカルガイドを用いて手術部位の確認を行います.
   
手術術式
  1. 浸潤麻酔
   
  2.切開(1次手術)
  手術部位により設定が異なります. 「血管、神経の走行に注意しながら、唇側に植立する場合は歯軸方向に切開し、口蓋側に植立する場合は近遠心的に切開を行います. 切開後、粘膜骨膜弁の剥離を行います.
   
  3.植立窩洞の形成
  エンジンを行い、植立窩洞の形成やアンカースクリューを植立する際は、常時生理食塩水を注水し、発熱および乾燥を予防します. 骨面を露出しガイドドリル(ラウンドバーなど)を使用し起始点を形成します。所定の長さのK1ドリルを用いて窩洞を形成します. 回転数は約500〜800回転行い、ホールチェッカーを用いて適切な深さまでできているか、方向は良いかなどを確認します.
   
  4.アンカースクリューの植立
  滅菌したアンカースクリューをK1カセットにセットしたまま、もしくはチタン製のピンセットで把持し、ハンドドライバーもしくはコントラドライバーに装着し、軟組織い触れないように窩洞に運びます. ゆっくりと回転させアンカースクリューのネジの部分が骨内に入るまで挿入します. この際も整理食塩水は注入します. この時にアンカースクリューの初期固定ができていなければ、さらに直径の大きなスクリュー(エマージェンシー用)に替えてください. また、固定できているのに大きな強い回転力を加えると、アンカースクリューの破折をきたす可能性があります. 閉鎖創にする場合は縫合処置を行います. 口蓋などに植立した場合は閉鎖創にできないこともあるため、そのまま1回法として手術を終えます. 
   
  5.投薬、予後の判定
  術後は抗菌剤の投与を2−3日行います. また、鎮痛剤も処方してください. 止血処置は十分に行い、閉鎖創にした場合は、術後に内出血が生じる可能性のあることも説明してください. 出血が続くようでな時の止血法を説明し、指示した通りに行っても止血しない場合には、連絡をとってもらうなど適切な指導を与えてください. 手術当日は入浴、飲酒は控え、できるだけ自宅にて安静にしておくように説明してください. 術後は手指で触らないように、またブラッシングも同部は行わないように指示してください. 綿棒などで術後を軽く拭くように清掃し、手術当日および翌日は患部を外から冷やし、多少の腫腸は生じることも説明してください. 日々体温を測り、発熱や膨張の増大、自発痛の継続等があれば直ちに連絡してもらうように指示し、帰宅させます. 約1週間後に抜歯を行います. 
   
  6. 2次手術
  約3〜6ヶ月後に1次手術と同じように、口腔内外を清潔にし、インプラントファインダー等を行い、アンカースクリューの位置を確認します. 浸潤麻酔後切開を加えヘッド部を露出させます. もしくはムコーサパンチを用いてヘッド部を露出します. その後周囲の軟組織を丁寧に除去します. 
  アパットメントをクィーザーにて把持し、アパットメントのフック部をアンカースクリューに装着します. さらにフック部をスクィーザー等で締め付け、脱落を防止します. (アパットメントのアーム部は必要に応じ、事前にアームベンダー等でベンティングし粘膜からの高さを調節し、又サークル部に牽引用のリガチャーワイヤーを通じた状態で、アンカースクリューに装着すると後々の矯正治療時に手間が掛かりません)以後の縫合や投薬は一次手術に準じます. 
   
  7. 矯正治療開始
  矯正治療開始の為、矯正歯科医へ
矯正治療終了後、アパットメント、アンカースクリューの撤去.
 
ORTHOANCHOR K1System 監修 井上雅裕/大阪医科大学付属病院口腔インプラント科 助教授
嘉ノ海龍三/カノミ矯正・小児歯科クリニック 院長
 
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