舌側矯正臨床基本テクニック 審美的歯科矯正法 Esthetic Orthodontics -Basic Technique of Lingual Orthodontics - HITOSHI KOYATA, D.D.S., Ph.D.
舌側矯正臨床基本テクニック青山審美会歯科矯正クリニック
トップページ
小谷田 仁 経歴
舌側矯正のセミナー・講演
舌側矯正の専門書
お問い合わせ
目次

01.審美的歯科矯正法の概念

02.正常咬合と舌側矯正のアーチ形態

03.舌側装置の長所と短所

04.舌側装置における症例の選択

05.舌側装置ブラケットの種類と特徴

06.タイポドント実習
  1)症例1:上顎前突症例
  アングルU級1類
  2)タイポドントの
   モデル症例

07.治療手順と使用ワイヤー
  の種類

08.舌側矯正の
  バイオメカニックス

09.舌側矯正に関する臨床テクニック

10.矯正診断に必要な臨床的診査(1)

矯正診断に必要な臨床的診査(2)・臨床術式


11.コアーシステム(1)

 コアーシステム(2)


コルチコトミー

12.コルチコトミー(促進矯正法)  

 コルチコトミーの症例1 

 コルチコトミーの症例2

13.舌側矯正における発音障害

14.舌側矯正における
  歯周疾患と口腔衛生指導


舌側矯正の症例

15.咬合平面と舌側矯正

咬合平面を基準とした開咬症例の分類

1)上顎咬合平面の位置,傾斜に問題がある症例
A)前歯部開咬および前突

2)下顎咬合平面の位置、傾斜に問題がある症例
B)前歯部叢生,開咬

上下顎両方咬合平面の位置、傾斜に問題がある症例
C)前歯部開咬

3)前歯部過蓋咬合症例 舌側矯正における下顎咬合平面

16.アングルT級症例

 症例1:上下空隙歯列

 症例2:上下前歯前突

17.アングルU級症例

 1)1類症例
  症例3:上顎前突

 症例4:前歯前突,叢生

 2)2類症例
 症例5:上顎前歯前突

 3)開咬を伴うアングルV級
症例6:上顎前歯前突,開咬

18.アングルV級症例(前歯部反対咬合)
 症例7:前歯部反対咬合
 症例8:前歯部反対咬合

19.外科症例:症例9:開咬,前歯部反対咬合

参考文献

▲ページトップ

     

 

舌側矯正臨床基本テクニック|審美的歯科矯正法

舌側矯正における発音障害

1)舌側装置装着によってとくに影響を受ける音声

基本的には,舌が発育時に主に上下顎の前歯にあたる音が影響を受ける.
例えば,日本語ではタ行(TA)ナ行(NA)ラ行(RA)ダ行(DA)などである.英語における〔t〕〔d〕は歯茎破裂音(Alveolar Plosive Sound)に属し,歯茎部に舌先を一度ぴったりと押し当てて閉鎖した状態からそこを一気に完全に開いて空気を放出させる音である.
このため,上顎前歯に装置があると正しい閉鎖が行われず,障害が生ずる.
〔s〕は歯茎摩擦音(Alveolar Fricative Sound)は歯茎と舌を使って,狭められた息の通り道から息を押し出す音である.また,〔∫〕は口蓋歯茎摩擦音(Palato-alveolar Fricative Sound)に属し〔s〕よりも広い範囲(歯茎から硬口蓋に至る)で摩擦が起きる.したがって〔s〕〔∫〕はかなり狭い隙間に息を通さなくてはならないのに,装置に厚み(凸凹)があるために発音時に適切な隙
間ができないために,いわゆるもれたような音になってしまう.
同じく,摩擦音(Fricative)である〔θ〕(例:thing)〔 θ 〕(例:this)の両方とも歯と舌を使って摩擦を起こして作る音だが装置をつけていると,

(1) 凸凹のある,したがって隙間だらけの装置が歯の代わりに舌に当たるため,適切な狭さの隙間ができない.
(2) 歯と舌先を使って音を出すが,舌尖周辺の広範囲に上顎前歯舌面装置が乗ってしまう.

このため,いわゆるもれた音になったり,あるいは(2)の効果で破裂音が混合したような音に聞こえることがある.摩擦音と破裂音は原理上同時に出てくる音ではないが,唾液で舌と装置の間に膜ができて,この唾液の膜が破裂したとき,例えば〔p〕,プッ,のような破裂音がわずかに混ざったように聞こえるためと思われる.

 

2) 舌側装置装着後, 発音が正常になるのに要する期間(表13-1,図13-1)

一般に患者の反応から推定すると,個人差はかなり大きいが,平均すると3〜4週間で舌側装置にかなり順応してくるようである.米国,Eastman Dental Centerでの舌側装置装着後のスピーチに対する影響の研究では,次の結論が出されている.

(1)個人差はあるが,平均すると患者のほとんどが装置に順応してくる1か月後になってもs,sh,t,dの音については不明瞭さが認められる(ただし10%以下).
(2) 舌側装置を上顎だけに装着した場合は上下に装着した場合に比較して発音障害が小さく,早く順応する.

表13-1 舌側矯正患者の上下顎装着と上顎だけの装着の比較(J. MariottiらのEastman Dental Center, Rochester, N.Y.でのデータより).


図13-1 発音するときの舌の状態(五十嵐康男,正しい英語の発音マスター90分,昇龍堂出版,東京,P33,1989.より

 

 CopyrightcOrtho.Seminar.Project WEB管理:Ortho.Seminar.Project

 

矯正歯科審美歯科