審美的歯科矯正法-舌側矯正臨床基本テクニック-
成人矯正の治療を短縮する方法
コルチコトミー(促進矯正法) と 舌側矯正(裏側からの矯正)
2年という期間は、成人患者にとっては社会的制約などの事から、長すぎる期間といえます。しかしコルチコトミーを併用すれば、治療期間を短縮できるのです.
 
促進矯正法としてのコルチコトミーは, 顎矯正(Orthopedic)と歯牙矯正(Orthodontics)の中間の位置に属する術式である.
  この目的の主なものは次の3つである.
  (1) 矯正治療期間の短縮.
(2) 歯槽骨を含めた歯牙移動範囲の増大.
(3) 歯根膜を介した歯牙移動による歯根吸収( R o o tResorption),後戻り(Relapse)の可能性の軽減.
   
  コルチコトミーは成人症例に対して有効である.その理由として次の事項が挙げられる.
  (1) 加齢に伴って,歯槽骨の海綿状骨の容量は減少し,皮質骨層はより厚くなってくる.歯髄腔の減少と,これに伴う血液配給の減少は,歯牙移動の効率を下げ,結果的に治療期間が長くなる.
(2) 成人はすでに成長,発育が完了しており,顎矯正力(Orthopedic Force)による顎骨の成長コントロールができない.
(3) 加齢による生体としての活性の低下は,矯正力に対する適応能力の低下をまねき,歯根吸収,後戻り,歯槽骨吸収,および歯肉退縮など,主に歯根膜を介した歯牙移動によって生じる病理的変化を生じやすくなる.
   
  コルチコトミーの長所としては次の事項が挙げられる.

 

(1) 切開される部分が緻密骨(Cortical Bone)に限定されるため,海綿骨の血液循環が確保される.このため,歯牙支持組織への障害,壊死の可能性は低い.
(2) 口腔外科処置,歯周処置および矯正処置の基本を理解していれば施行することができる.特別な器材を必要とせず,局所麻酔下で施術することができるので,一般臨床医が行うことができる.
症例
  症例1
 
(1)患者
年齢・性別:21歳7か月(初診時),女性.
主訴:上顎前歯の叢生および前突感.
顔貌所見:上下唇の前突感あり.E−ラインに対して下唇は+6.0mm.
口腔内所見:上顎前歯の叢生および唇側傾斜.オーバージェットは+1 0 . 0 m m , オーバーバイトは+1.0mm.下顎3incisors.
セファロ所見:上下顎の前後的位置関係は正常であるが,上顎前歯部の唇側傾斜が強い.ややDolico-facialtypeの傾向を示す.
全身症状および既往症:とくに顎関節に関する自覚症状は認められないが,頭痛および首,肩などに疼痛が常時認められる.神経性胃炎の既往症がある.
  症例2
 
(1)患者
年齢・性別:26歳8か月(初診時),女性.
主訴:上顎前歯の前突感.
顔貌所見: 頤部の後退が顕著で, いわゆるDolico-facial typeに属する.下唇とE−ラインとの距離は+3.4mmである.
口腔内所見:上顎前歯部の唇側傾斜,下顎左側第二小臼歯の舌側傾斜が認められる.オーバージェットは+14.4mm,オーバーバイトは−2.7mm.
セファロ所見:上下顎の前後的位置関係は後退位を示す(SNA:76.0°,SNB:72.0°).上顎前歯は著しい唇側傾斜を示す(U1toNA:18.5mm,40.0°).いわゆるハイアングルケースに属し,オープンバイト傾向を示す.
     
   
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