審美的歯科矯正法-舌側矯正臨床基本テクニック-
コアーシステム
 
  5)コアーシステムの種類
  6)技工プロセス(C.R.Cシステム)
  7)臨床プロセス
  1985年9月 第44回 日本矯正歯科学会 学術大会発表抄録
   
5)コアーシステムの種類
    セットアップモデルを基準としてブラケットの位置を決定し,ここを基準としてブラケットを正確に歯牙に接着するために用いるコアーを作製する.インダイレクト ボンディング用コアーを作製する.この術式をコアーシステムと称するが,多くの方式が開発されてきた.  
    (1)コアーシステムの重要項目  
    (a)正確で安定したブラケットの位置付けが可能なこと
(b)操作性に優れ,トレーの着脱が容易で安全に出来ること
(c)歯牙移動中のブラケット脱落時に同じコアーを用いて,容易で正確に再装着可能なこと
(d)ボンディングが困難な部位にもボンディング出来ること
 
       
    (2)舌側矯正コアーシステムの種類  
   
図11-44|図11-45
図11-46|図11-47
1)シリコンタイプ:内側にインジェクションタイプ,外枠にパテタイプのシリコン印象材を用いたコアーシステム多数歯の装置装着が同時に出来て操作性に優れ,製作が比較的容易.
但し,材質的に弾力性を有するため,やや安定性に欠ける.ブラケットは分割して個歯トレーとして用いる事は可能であるが精度に欠ける 2)メモジルタイプ:透過性が良くブラケットを直視して,一度に全歯牙に装着出来る.分割して用いる事も可能なシリコン素材のコア.
図15-48|図15-49
図11-50|図11-51
3)プレスタイプ:ソフト板の上からアウターシェルを重ねた二重コアタイプ.脱落したブラケットの再装着は困難.
4)ヒロ・システム(RCIBS):臨床的に製作が容易で,正確で安定した術式.
脱落したブラケットの再装着は不可能.但し,付属する3D(リプレースメント)アーチワイヤーにより,脱落したブラケットの再装着が可能であるがこの再装着の術式はやや不安定である.
図11-52|図11-53
図11-54|図11-55
5)ハイブリィドコアシステム:硬いレジンコアーの内面のシリコンにブラケットを固定する. 脱落したブラケットの再装着は可能であるが,ブラケットを保持しているシリコンの破損に注意する必要がある.
6)CRC(CONVERTIBLE RESIN CORE)
システム:正確で安定したブラケットの位置付けが可能.操作性に優れ,コアーの着脱及び過剰ボンディング除去が容易に出来る.歯牙移動中のブラケット脱落時の再装着が装着に用いたと同じ各歯トレーを用いて正確に容易に行える.

 
     
6)技工プロセス(C.R.Cシステム)
    (1)Custum Lingual Arch Systemに基づいてセット・アップ・モデル上にブラケットの位置づけを行う.  
    (2)ブラケット・スロット部分と歯面の一部を結紮用エラスティック(Elastomeric Ligature)とBasePlate Waxを用いてブロック・アウトする  
    (3)ブラケットベースとレジンコアーの間に空を作るためのワックスを歯面に付着する.
この空によって,ボンディング剤がレジンコアー内に進入するのを防ぐ分離剤をセットアップモデル上に塗布した後, パターンレジン(Pattern Resin-Durallay)を用いてコアーを形成する.(Brush-on Laying Technique)安定性を増すために,歯面上面からホールフックの位置までコアーを拡大する
 
    (4)レジンが硬化したら,セットアップモデルから,コアーとブラケットを一塊として外ベースプレートワックス(Base Plate Wax)と,ElastomericLigatureを外すとブラケットはレジンコアーから容易に外すことができる.  
    (5)レジンコアーの上面に結紮用エラスティックを装着するための溝を形成する.結紮用エラスティックを用いてブラケットをレジンコアーに固定し,ボンディングを行う.  
   
図11-56,57 C.R.Cシステム,前歯コアー.
(Taeweon Kim 原図 Taeweon Kim, etal; New Indirect Bonding Method for Lingual Orthodontics. J.C.O., Vol.34.,: 348- 350.,2000.より引用
 
     
7)臨床プロセス
   

(1) 歯牙表面にレジンコアーが密着(f i t)するか確かめる.
表面処理( 付着物の除去, エッチング)を通例に従って行う.更に付着力を強力にするためには,Microelcherを用いてサンドブラスト(Sundblast)を行う.

 
    (2) ブラケットベースにボンティング剤を塗着し,ブラケットで一体化したレジンコアーを歯牙に付着する.完全にブラケットが歯牙に密着するように指で軽く押さえる.
 
    (3) 接着剤が硬化する前にボンディング剤の除剰分を 除去する  
    (4) ボンディング剤が硬化したら, 結紮用エラスティックを除去してコアーを外す.
 
    (5) 各歯コアーは,矯正移動中のブラケット脱落時の再装着を行う時に用いるため保存しておく.  
       
    〔コアーシステムによるブラケットの装着〕  
 

図11-55|図11-56

図11-55 セットアップモデル上のコア.
図11-56 患者モデル上のコア

図11-57|図11-58

図11-57 各歯コアの口腔内での適合性のチェック.
図11-58 舌側歯面の付着物除去.

図11-59 エッチング(脱灰).
図11-60 水洗によるエッチング液の除去と歯面清掃.
 
   

図11-61|図11-62

図11-61 ドライヤーによる歯面の乾燥.
図11-62 コアの口腔内装着

図11-63|図11-64

図11-63 口腔内に装着されたコア.
図11-64 コアを歯面より外す.

図11-65|図11-66

図11-65 超音波洗浄器による余剰接着剤
の除去.
図11-66 アーチワイヤーの装着.

 
   
図11-67 ブラケットとコアのラバーリング(O-ring)による固定. 図11-68 ラバーリング(O-ring)の外し方.
(Taewon Kim原図)
 
       
    〔リンガルコアーシステムの臨床例〕  
   
図11-71 図11-69
図11-70 図11-72
図11-69〜72 リンガル・コア・システム
(CRC)の臨床例.前歯空歯列.臼歯部.
Angle Class 1の症例.

図11-73|図11-74

図11-73 前歯部のコア.
図11-74 臼歯部のコア.

図11-75|図11-76

図11-75,76 CRC(Convertible Resin Core)Systemによるブラケットの位置づけ. 前歯および臼歯のC.R.C.コア.
セットアップモデル上のコアの場合と症例へのコアの接着.

 
   
図11-77 図11-78
図11-79 図11-80
図11-77〜80 空閉鎖がほぼ完了した状態.
上下 017×025 Copper Ni-Ti装着.

図11-81|図11-82


図11-81,82 臼歯部D.B.Sコアの臨床形態.

 
   
図11-83,84 臼歯部D.B.Sコアーの形態.(Seoul Orthodontics Int. Ltd.のTextより引用)

図11-85|図11-86


図11-85,86 臼歯部バンド用コアーの形態.補助ワイヤーで固定してブラケットをバンドにロウ着(SOLDERING).

 
    図11-87 ブラケット脱落時の各歯コアーによる再装着.  
     
 

1985年9月第44回 日本矯正歯科学会学術大会発表抄録

 
    U-2-1137-12 いわゆる マルチ リンガル アプライアンスのシステム化へのアプローチ 東京都 小谷田 仁  
    昨年の日本矯正歯科学会大会においてマルチ リンガル アプライアンス( FUJITA METHOD)のUNITEK, ORMCO, AMERICAN, G.A.C.その他LIGATURELESS BRACKET等の各装置を用いたおのおのの症例の完了ケースを提出した.
これらの症例を完了する過程における問題点はこの術式の持つ歯牙舌側形態の多様性等の臨床技術上の困難性を合理的に解決する治療システムをいかに作り出すかにあった.
この解決のためにはまず治療目標の鮮明化が必要となる.すなわちあらかじめ症例の完了時の理想的咬合状態をC.R.の位置でセットアップモデル等によって明確にし,それを基準としたアイデアルアーチの作製およびブラケットの正確な位置付けをし,そこから治療プロセスを割り出す.
具体的な術式としては,

1.症例を中心位で咬合器にマウントし咬合状態をチェックする.
2.咬合器上で診断用ナソロジカルセットアップモデルを製作する.
3.この模型上でアイデアールアーチを製作しそれを基準にして各歯のブラケットポジションを設定する.
4.間接法ボンディング用プラスチックトレーを加圧形成器で製作し分割して各歯トレーとする .
5.各歯ごとに口腔内でブラケット装着する.

この術式の利点はブラケットの再装着が各歯ごと容易,正確にできること,またCrowdingやRotatiionのため治療開始時にブラケットの装着不可能な時や治療初期に上顎の側方拡大等の必要な場合に歯牙移動を開始した後でも適当な時期にブラケットを装着できることである.
以上の結果,結論の概要は次の通りである.この治療システムは特に新しい方式ではないが,舌側装置の特殊性に対応し質の高い完了ケースを均一に完成していくための合理的な一方式であると思われる.なぜならこのシステムは明確な咬合理論に基づいた診断用セットアップモデル等を中心位で製作し治療目標を鮮明化することによっていわゆる中心位に始まり中心位に終わる矯正治療の実践を試行しているからである.
 
   
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